作業開始:2019/01/03 掲載:2019/10/20
ここまでで
@ 信号ソース
A アンプ
B @Aの電源On/Offを連動させる回路
ができた。
あと必要なのは@Aにそれぞれ必要な電圧を供給する回路だ。
信号ソースには3.7V、アンプには4.5〜12Vが必要になる。
これらをACアダプタ
から生成する。
以前コチラの記事で使ってそのままほったらかしになっていた、表面実装型のDC−DCコンバータを再利用。
前回使ったときはこんな不格好な方法で万能基板に付けたが、
今回はちゃんと「表面実装ぽく」載せることにした。
回路はこれ。
出力電圧を3.7Vにしたい場合、設定用の抵抗Rtを1.9kΩとすればよいのだが、
この値の抵抗はなかなか見つからない。やむを得ず2kΩで妥協した。
出力電圧Voutは図の通り若干低下するが、動作的には問題ない。
出力側に入っている抵抗Roは本来不要なのだが、負荷の電流を簡単に測れるようにあえて入れてある。
この抵抗の両端電圧を測れば、そのまま負荷電流が分かる。
TA8217P のデータシートによると、このICに加えられる電源電圧は最大20Vとのこと。
ならばACアダプタの12.9Vを直つなぎでも構わないのだが、
僕はこのBluetoothスピーカを「電池でも使える」ものにしたいと思っていた。
単にその方が便利だというのもあるがそれよりも、「軽すぎていい音が出ないのでは?」という
心配があったため。
ウエイトとして電池を内蔵すればちょっとは筐体が安定して、いい音が出るんじゃないか、と考えたのだ。
もちろん筐体は密閉されていて、電池交換ができる形にはなっていないので、内蔵する電池は充電式で
ある必要がある。
幸い我が家には、単3形のニッケル水素電池
が、何本もあった。
何に使っているわけでもなく、なんだか分からないうちに増えたもの。多分、Wiiのリモコン用に買って増えたんだと思う。
リモコンがいくつもあって子どもたちが使いまくるせいで電池がすぐなくなるので。
そのWiiもここ数年はすっかり使われなくなった。
ニッケル水素電池の充電は基本的には「0.1C充電」だとのこと。
ここで言う「C」は電荷の量の単位「クーロン」ではなく、その電池の容量に対する相対的な電流値のこと。
たとえばこのeneloopの容量は1900mAh。このとき 1C=1900mA
である。
ならば 0.1C=190mA。空の状態からならこれで10時間で満充電となる理屈である。
(実際にはロスがあるのでもう少し時間がかかる。)
となると充電回路は
@ニッケル水素電池に190mAの電流を流し込む。
A満充電になったことを検知して電流を止める。
B充電中/充電済みに関わらず、アンプへ電源を供給する。
という役割が要求されることになる。
個人的に難しいと思ったのはこの「満充電の検知」。両端電圧から判断するのが定番のようだが
温度による変化もあったりしてなんとも微妙。
少々の過充電には耐えられるとのことなので、ならば満充電の検知は甘め(まだ満タンになっていなくても良しとする)とし
その代わり、満充電と判断しても充電を完全には停止せず、少量の電流を流し続ける、という方法を取ることにした。
でその回路がこれ。
ニッケル水素電池6個を直列に使用することにしたので標準電圧は 1.2V×6個=7.2Vとなる。
6個に決めたのは単にスペースの都合。ACアダプタの12.9Vに比べるとだいぶ電圧が落ちるが仕方無し。
「2SC306」とか今どき見ない石を使っているが手持ちの以下略。
右半分は定電流回路。充電電流Icを一定に保つ働きをする。IcはQ2のOn/Offによって切り替わるが概ね
Q2On:240mA Q2Off:67mA
となるよう設計したつもり。
Q2On時の充電電流Icが240mAというのは前述の「0.1C」に比べると若干多い。
この電流値はR5によって決まるのだが、たまたま手元に12Ωのがあったのでこうなった。
Ic=(ZD1の両端電圧−Q2のCE間飽和電圧)/R5=(3.0−0.1)/12≒241.7mA
いっぽうQ2Off時のIcは
Ic=ZD1の両端電圧/(R6+R5)=3.0/(33+12)≒66.7mA
となる。
左半分はコンパレータ(比較回路)。
電池の両端電圧が低いうちは出力 "Hレベル" となり Q2=On →
Ic=240mAとなる。
充電が進み両端電圧が上がってきて概ね8.4Vに達すると出力="Lレベル"、Q2=Off → Ic=67mAとなる。
つまり、充電完了と判定した後も0.035Cくらいの電流をダラダラ流し続ける仕様。
ちなみにこれはACアダプタを接続したときの話。アダプタの無いときは充電回路は切り離され、
単に電池が負荷に給電する形になる。
あとこの回路図には無いが、「充電中」を示すインジケータを追加した。コンパレータの出力で
小信号用トランジスタをOn/Offし、LEDをドライブする簡単な回路。
スペース的な条件がなかなか厳しいことは予測していた。
収める場所はこの基板があったところ。
筐体中央の、iPodコネクタや外部入力、電源ジャックの載っている基板。
この形状と互換性のある形に万能基板を加工。
こんなカンジに収まる。
出来上がり。