作業:2015/04 掲載:2015/04/12
試運転してみて分かったとおり、CPUの発熱量はさほど大きくはない。
とはいえファンは必須である。使えるヒートシンクの大きさが限られているから、
ファンレスでは放熱能力が不足する。
そもそも起動時のBIOSチェックに "ファンエラー" で引っかかり、そのたび[F1]キーを押す
羽目になるのは、マザー上のファン電源コネクタ(?)
にファンをつないでないせいじゃないか?
手元にはCPU(Socket7からAM2)用、GPU用、パワートランジスタ用、と、いくつもある。
(使うあてもないのについつい取っておいてしまう、という困った性癖。)
今回はその中から、「薄型」ということでこれをチョイス。
パワートランジスタ用。高さは12mmほど。
ところどころ孔が空いていることから分かるとおり、使い古しである。
このままではマザー上のVRMやらコンデンサやらにぶつかるので、加工が必要。
こんな形になりました。
加工はひたすら手作業で。
この熱伝導シートを使う。
熱抵抗の点から言えばこんなものは挟まずに、シリコングリスを塗布してヒートシンクを直に
接触させた方が良さそうなものだが、いかんせんヒートシンクの加工精度に自信が無い。
「ナナメに取り付いてCPUダイが欠けた」なんてことになるのが怖いので、クッションとして入れた。
この孔を通して
裏側からビス留め。
当然、ヒートシンク側には対応するビス孔を空け、タップでネジ切りをしてある。
ちなみに留めビスはスプリング付きのもの
が手元にあったので、これを使った。なぜこんなものを持っていたのかは謎。
多分ジャンクのノートパソコンを処分したときに外してとっといたものだと思うが。
上述の通り、ヒートシンクにはファンを取り付け、このコネクタ
の出力で駆動したい。
その前にまず、このコネクタのピンアサイン・・・というか
「これは本当にファン電源コネクタなのか」を確認する必要がある。
と言っても特別なことをするわけではない。単に起動させた状態で
各ピンの電圧をあたってみるだけである。
その結果、
という結論に至った。
ただし。
「回転数検出」は推測である。
GNDは間違いない。+5Vも間違いなく出ているので、残りの1つは回転数だろう、と。
普通のCPUファンとはピンアサインが違う(コネクタ自体も電圧も違うが)。
一般的なCPUファンでは真ん中のピンに駆動電源(+12V)が割り当てられている。
このコネクタ、ピンのピッチが1mmと狭く、これに合うプラグは手持ちに無かった。
Aitendoあたりで1mmピッチのコネクタ(リード線付き)を取り扱っているようだが、
わざわざこれだけを通販で取り寄せるのもばかばかしい。送料の方が高いわ。
いずれついでのあるときに、1mmピッチのコネクタを買うことにしよう。
(余談だが今回使用したFFCもAitendoから取り寄せた。FFCの品揃えはアキバ随一だと思う。)
直ハンダで線を取り出す方法もあるが、マザー自体に手を加えるのは好かない。なるべく原状を変更せずに処理したい。
ジャンクノートPCから外したCPUファンが手元にあったので、そのコネクタ
(1mmピッチだが形状が異なりこのマザーには合わない)を使うことにした。
コネクタ自体をばらして、中のコンタクト(接触部の金属)のみを取り出して使用する。
むき出しのコンタクトを1つずつピンに挿して、隣同士の短絡と脱落防止のためホットボンドで固める。
これでも「マザーに手を加えている」と言えなくもないが、ホットボンドなら除去は簡単なのでまあよしとする。
このリード線の先に、一般的なCPUファンに合うコネクタをつなぐ。
ピンアサインも合わせたが、駆動電源電圧は +12V ではなく +5V である。
普通のファンを差して使える保証は全くない。
最初にこのファンで試してみた。径は40mm。DC12V用である。はたして回るか。
結論:回らない。
やはり駆動電圧が足りないようだ。
ただ、起動時にBIOSが出す "ファンエラー" は出なくなった。ファンの接続は認識されているらしい。
実はこのファン、5Vで回ることは事前に確認してあった。ならばなぜ回らないか。
どうも、BIOSがファンを認識したのがアダとなったようだ。
駆動電圧を測ってみると、起動直後は5Vを大きく下回り、時間の経過とともにじわじわと上昇している。
つまり、駆動電圧制御によりファンのスピードコントロールを行なっているのだろう。
いきなり5Vを印加すれば突入電流によるトルクで回り始めるが、じわじわと電圧を上げていった場合は
機械的抵抗を打ち破って回転し始めることが出来ないのだと思われる。
ちなみに手でちょっと回転を与えてやると、そのままくるくると回り出した。
さあ困った。どうしよう。
結局、DC5V用のファンを使うことにした。
だがこのファンには、回転数信号を出力する機能が無い。
そのせいだろう。起動時の "ファンエラー" が復活してしまった。
おまけにスピードコントロールが利かない。いきなりフルスピードで回り始める。
ネット上でちょっと探してみたが、「DC5V駆動で回転数検出機能付き」というファンは見あたらなかった。
ノートPC用には普通に使われているはずだが・・・。
(もっともノートPC用のはほとんど遠心ファンで、今回の用途には向かなそうだが。)
そんなわけで現状、冷却は出来るが 「起動のたびに[F1]キーを押す必要有り」という状況に変わりはない。
これは要求を満たすファンを見つけるよりしょうがない。気長に探すことにする。
CrystalMark2004R3でCPUに負荷をかけつつ、OpenHardwareMonitorでCPU温度を見てみたが、
最高で 78℃ に達した。
あまり気分のいい数字じゃないが、連続して負荷をかけてもこれ以上は上がらず、負荷が軽くなると
たちまち50℃台まで下がる。実用上は問題無さそう。
このときヒートシンク自体は全然熱くなっていないので、やはり熱伝導シート
の熱抵抗がじゃまをしているのだろう。
ここまで書き忘れていたが、シャーシを放熱板にしたチップセットの方はどうかというと、
ほんのりシャーシが暖かくなる程度。連続運転にも耐えられそうだ。