このマザーでは「電源スイッチ」「USB」が、フィルムケーブルで取り出されるようになっている。
(調べれば他にもいろいろありそうだが、とりあえずこの2つは必須。)
なのでフィルムケーブルで取り出して、スイッチなりUSBジャックなりを直接つなげば使えることは使える。
しかしいったん基板で受けて、一般的なピンヘッダに変換した方が何かと融通が利くのでおすすめである。
こうしておけば、たくさん出回っている汎用パーツが使えるからだ。
というわけで変換基板を作った。
マザーボードからフィルムケーブルで取り出した各端子(白いコネクタに接続する)を、
一般的なマザーで使われているピンヘッダ(黒)に変換している。
ちなみに取り扱っている信号は
Power-SW
Power-LED
USB
である。
将来は
Reset-SW
HDD-Access-LED
なんかも、マザー側のコネクタが判明すれば取り込みたいところ。(そもそも存在するのか不明だが。)
この基板にはもう一つ、「DC12Vをハードディスクに供給する」という役割を持たせた。
前述の通り、データ用に3.5インチのHDDを使用することにしたが、このマザーは元々ノートPC用であり、
3.5インチHDDを直接つないで使うことは考慮されていない。想定されているのはあくまで
2.5インチHDD(S-ATA)
スリム光学ドライブ(Slimline S-ATA)
のみである。
写真をもう一度。
光学ドライブ用のSlimlineSATAはもちろんだが、HDD用のコネクタ(通常サイズ。ただし♂♀が逆。)にも
12V電源は出てきていない。本来12Vが出てくるべきピンは、NC(接続無し)になっている。
一方、3.5インチHDDは 5V の他に DC12V 電源を要する。従ってどこからかこれを供給してやる必要が生じる。
今回は三端子レギュレータを使って、電源のACアダプタ(DC19V)から、12Vを生成することとした。
本来、19Vから12Vを作るような、入力と出力の電圧差が大きい場合には、スイッチングレギュレータを使うのが望ましい。
シリーズレギュレータでは損失が大きく、効率が悪くなる。損失が大きいと言うことは、発熱の面でも不利である。
…が、レギュレータICの定番である「7812」がたまたま手元にあったので、ダメ元で使ってみることにした。
このICの出力電流は、最大1Aとなっている。これがHDDを駆動するのに足りるかどうかはよく分からない。
Web上で "HDD 消費電力" で検索してみるとおおむね、もっとも電気を食うスピンアップ時で 10〜数10W、
Read/Write時で10W以下、の範囲内にあるものが多いようだ。となるとこの 「12V × 1A = 12W」は微妙なところである。
通常の読み書きはともかく、その前にちゃんとスピンアップしてくれるかどうか。
ま、「ダメ元」なので。
レギュレータの損失はそのまま熱になるので、放熱をちゃんとしてやる必要がある。
放熱器を別途もうけてもよいのだが、せっかく手近にアルミ板(ベース板)があるのだから、これを使わない手はない、
ということで、写真の通りベース板に放熱。
昔っから好んで使う手である。ちゃんとした放熱器と違って熱抵抗が分からないので、出たとこ勝負に
なってしまうが、さほどシビアな使用条件ではないので大丈夫だろう、と思う。
……我ながら、いろいろといい加減である。
HDDの接続に使ったのは、SlimlineSATAの延長ケーブル。
写真は販売サイトから転載。
写真右側の♂コネクタはマザーにつながる。
左側の♀がHDDにつながるのだが、電源コネクタの形状が異なるので、このままでは挿さらない。
電源コネクタは別途用意することにして、切った。
信号線側だけ残してまっぷたつ。
HDDに挿してみると、となりの電源コネクタとぶつかってしまったので、ヤスリで削って調整した。
まとめると、こうなる。
見切り発車でここまで進めてきたものの、実際に使えるかどうか確認しないことには始まらない。
この状態でシステムを起動し、動作を検証した。
まず起動。何事もなくOSが起動し、HDDは2台とも無事認識。
何度か再起動してみたが、Dドライブつまり3.5インチHDDの認識に失敗する、ということはなかった。
次に、HDDに負荷がかかる使い方をしたときの、12Vの安定性と三端子レギュレータ7812の発熱を調べてみた。
具体的には、Dドライブのデフラグを実行しながら、テスタで12Vラインの電圧を監視。
と同時に、7812の温度を手で触診。
12Vラインはテスタで見る限り変動は見られない。
7812の温度は、デフラグ開始から30分程たって、盛大にHDDにアクセスしている最中でも、「やや暖かい」と
いう程度だった。
「使える」という結論に達し、最後の仕上げに移る。
容量の足りない(かもしれない)電源をHDDに使うことは決しておすすめできない。 たとえ見かけ上正常に動いたとしても、スピンアップに失敗して何度も繰り返すような状態ではドライブに負担をかけ、寿命を縮めるし、動作中に万一、「いきなり電源が死ぬ」ようなことがあった場合、かなりの高確率でHDDも道連れである。 今回は実験的にやってみたのだが、その後の運用ではこまめにS.M.A.R.T.情報を確認し、悪化の兆しが見られたらすぐにちゃんとした(容量の大きい)電源に置き換えるつもり。 かつ、大事なデータの記録には使っていない(怖くて使えない。) それでもやってみるのは、「危険を承知でやってみて、案の定痛い目に遭う。」ということが僕の場合、スキルを身につけるにもっとも手っ取り早い方法だからだ。 ( ̄∇ ̄)v ドヤッ! |